疾患と治療について

PAD の診断・治療法


PAD の診断と治療

PADの一般的な診断方法として足関節上腕血圧比(ABI)の検査があります。ABI検査では足関節と上腕部の血圧を測定し、それぞれの血圧測定値を比較して問題があるか確認します。そこで、足関節の血圧が上腕部の血圧より低い場合は、心臓から足までの動脈に問題があることが疑われます。

その他の診断方法には、超音波検査、CT血管造影(CTA)、核磁気共鳴血管造影(MRA)や、血管内に造影剤と呼ばれる薬剤を注入してエックス線で血管を撮影する方法(血管造影)があります。

PAD治療の第一選択は生活習慣の改善です。具体的には禁煙に努め、日常生活の中に運動を取り入れたり、あるいは食生活の見直しを図ることで血圧やコレステロールの値を下げていきます。これらの改善によってPADの症状の進行が遅くなり、心筋梗塞や脳梗塞にかかる可能性も低くすることができます。多くの場合、生活習慣の改善と併せて特定の薬物療法を用います。これらの薬には、血栓を予防するための抗血小板療法、コレステロールを下げるためのスタチン療法、あるいは血圧を下げる降圧剤などがあります。しかし、生活習慣の改善や薬物療法ではPADの進行を抑えることができない患者さまも少数ですがいらっしゃいます。このような患者さまには、血管形成術やステント治療術、または外科手術(バイパス手術)が必要となります。


血管形成術

血管形成術は、狭くなったあるいは詰まってしまった末梢の動脈を外科的な手術を行わずに拡げる治療法です。これは、先端に小さなバルーン(風船)が付いているカテーテルを血管の狭くなった部分に挿入し、そこでバルーンを膨らませて血管を拡げた後、バルーンを元のようにしぼませてカテーテルを引き抜きます。

バルーンカテーテル狭くなった血管を拡げるために用いられます。
バルーンカテーテル
狭くなった血管を拡げるために用いられます。

ステント治療術

血管形成術を行う際、必要に応じて、ステントという血管を内側から支える円筒型の金属製の管を血管の狭くなった部位に置きます。しぼめた状態のステントをカテーテルを使用して狭くなっている血管へ挿入し、そこでステントを拡げて埋め込み、血管が拡がった状態を保つようにし、カテーテルを引き抜きます。

薬剤溶出型ステント

薬剤が表面に塗布されたステントのことで、心臓の血管の治療に広く使用されています。この薬剤によって、ステント治療後に血管が再び詰まってしまうのを抑えることが期待できます。

ベアメタルステント

薬剤が塗布されていないステントのことで、バルーンによる血管形成術後、血管が十分に拡がらない場合や、急性の閉塞や切迫閉塞の場合に使用します。また、薬剤溶出型ステントが使用できない場合にも使用します。

ステント金属製の柔軟な管で、血管を拡げた状態に維持します。
ステント
金属製の柔軟な管で、血管を拡げた状態に維持します。

血管内に留置されたステント(イメージ図)
血管内に留置されたステント(イメージ図)

バイパス手術

バイパス手術は、患者さまの解剖学的な形態がカテーテルを用いる治療に適さない場合や、生活習慣の改善が有効でない場合に適応される治療法です。この治療法は、閉塞した血管部分の上下を、体内の他の部位から採取した血管または人工血管で繋いで、血流の迂回路 (バイパス) を形成する方法です。しかし外科手術には相応のリスクが伴い、特に心臓病、高血圧または糖尿病など他の疾患をお持ちの患者さまではさらにそのリスクが高くなります。

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